2015年度 証券アナリスト試験に無事、合格しました。
勉強方法はスクールや通信講座を利用せず、独学です。
一次試験は証券分析で躓いたりして間延びしたものの、二次試験をストレートで合格できたのは良かったです。
一次試験・二次試験とも独学で取組んだ為、ネットで事前に勉強方法を調べて、幾つか参考にさせていただきましたが、いわゆる「秀才肌」か、夜もタフネスに勉強できる「根性人」が書いたであろう
エントリー(ブログ記事)も散見されるので、気を付けましょう。
例えば「1次は1ヶ月の勉強で3科目受かりました」みたいな事を鵜呑みにしていたら、初学者でフツーの人は悲惨な目に合うと思います。
私は受験当時、本当にフツーの若手・・・中堅金融マンですが、少なくとも数学を含む勉強が好きで、試験慣れしてるタイプだったとは思います。
以上を踏まえて、興味のある方は参考程度に読み流してみて下さい。
<一次試験>
・使用教材 (共通)
TACの一次試験 過去問題集 (テキストは一応購入するも使用せず)
(「噂の」協会通信講座の教材は少しパラパラ見て終了)
なお、平日の通勤時間+ 週末は何れか半日ぐらいのペースで学習。前日は力尽きるまで、勉強しました。
・証券分析 (2ヶ月~)
6年分 × 1巡
アナリストの試験科目では、最も難易度が高く、範囲も広いので、1科目だけ受けるのがお薦めです。内容に馴染みがなく、勉強のコツもなかなか掴めず、苦労しました。また本番では、問題を全部解いて見直しする十分な試験時間がありません。問題を読まなくても、解き方が分かるレベルまで、計算方法を体に馴染ませる必要があります。
TACの過去問は上手く編集されているので、過去問を順番に1単元ずつ解いてみると、高頻出の公式やポイントが分かります。
【解き方のイメージ】
〈単元〉 : アセットアロケーション (仮)
第1問(H23年度・秋)
⇒ 問題の意味すら分からん状態。ストレスが溜まります。
最初から答えを読みながら解き、公式や解き方をなんとなく覚えます。
覚えられなかったら、モチベーション下がるので、諦めて進むのがポイント。
第2問(H24年度・春)
⇒同じパターンの問題は、答えを見ずに解けるようになり、正答率は4割程度になります。
同じように分からん問題は、答え読みながら解きます。ここで公式や解き方を覚えます。
第3問(H24年度・秋)
⇒答えを見ずに7割程度は解けるようになり、成長を実感します。
残りの3割は、答え読みながら解きます。
この段階で1巡目にして結構、分かった気になってきます。
⇒ 無印で買った小さいノートに重要な公式を纏めて、通勤電車で見て定着を図ります。
自分ノートに書き記す際に、ギリシア文字を駆使した「序数公式」で覚えられない場合、無理せずに「基数」で実際の数字を当てはめて、問題・答えを転写するのがポイントです。自分の為のノートなので、教科書通りに記す必要はありません。格好良く書いて、中身はサッパリ・・・というのはダサダサです。
注)証券分析で使う数学的な公式は、一見するとギリシア文字・添え字のオンパレードで難しく感じますが、
実際にはたいした演算処理は要求されません。数学も一応、対数の概念と、高校レベルの微分(偏微分程度)ができれば十分です。
それでもデュレーションやコンベクシティなどの公式は基本中の基本なので、すらすら書けないと、受からないですね。慣れたら友達のように思えまてきます。DMacやModやらの公式にアレルギー反応を示し、ラッキー問題に思えない時点の方は、
合格に必要な学習量が全然足りてません。バロメータにしてください。
一方、ブラックショールズ方程式等は、覚えても(試験対策上は)あまり意味ありません。カッコよさげな数式と戯れて、ナルシズムに浸らないように注意しましょう。数学は問題を解くツールに過ぎず、私たちは合格を目指すだけで、学者を目指すわけでありません。うっかり解説通りの”展開”を始めたり、証明したりするのは完全に時間のムダです。一つでも多く「
正確に公式を覚え、使いこなす訓練をする」事に注力しましょう。
・財務分析 (1ヶ月) 3年分 × 1巡
金融機関勤めなので仕事柄、たいして勉強しなくても大丈夫かと思いきや、意外と出題範囲が広い為、負担感がありました。但し、難しくて手が止まってしまうような問題は出題されません。割と素直な問題が多いです。
重要な公式は、証券分析と重複している部分も多くありますが、何れも少し解き方のクセが異なるケースがあるので、混同しないように試験時期をズラすのもいいかもしれません。
退職給付会計、リース会計は、やや連続した計算を要求されたような気がします。
BS・PLの計算問題は計算上、2期平均を採用するのかなど、問題の指示をよく読んで対応する必要があります。
TACの過去問を1回解きます (要領は、証券分析の過去問の解き方と同じです)
⇒ 理解が曖昧な部分を直前にもう一度解く ⇒ 合格。
・経済分析 (2日) 2年分 × 1巡
経済学出身の私には、馴染み深い内容でした。
通信教材の過去問を解いていきなり7割超えた為、調子に乗る原因になりましたが、よく考えたら経済学オタクだったので、できて当たり前ですね・・・。
従って、初学者の方がどうした対策を取ればベストなのか分かりませんが、基本は同じようにTAC過去問を解く流れでいいと思います。
<二次試験> (2ヵ月) 3年分 × 1.5巡(2巡目は途中で時間切れ)
・使用教材
TACの二次試験 過去問題集 (テキストは買わず。)
(協会通信講座の教材は、もはや開封もせず。)
・二次試験は論文から引用された実証データの分析など、アカデミック+実務的であり、楽しく勉強できました。
一次試験で基礎体力はできているので、問題の意味すら分からん…といったアレルギーに悩まされる事はまずありません。二次の範囲が増えたところ、頻出の高い問題のトレンドを抑えたら、合格は目前です。
得点源とするべき「職業倫理」は、過去問を一通り取り組んだ上で、前日に
すべての条文を朗読しました。やや苦痛を覚えますが、条文の場所をざっくりと覚える為の作業であり、試験対策としては有効だったと思います。「職業倫理」は感覚的に、ほぼ満点取れました。
さて、二次試験についてネット上では、配点分析をしている方も多く見受けられます。
情報提供は有難いのですが、ここだけやれば「期待確率上」は合格ライン!みたいな、一見すると合理的な考え方には、疑問を覚えました。(資格の勉強は、主に
過去問からの出題割合×理解度(得点率)+αの応用力で構成された、
合格期待値を上げる作業なので、気持ちはよく分かりますが・・・。)
私自身は、絶対の信頼を寄せる分野というのが無かったので、得点を期待している科目や出題分野で、幾つか
新傾向の問題が出たら、たちまち窮地に陥ると考えました。
そこで、
緩急はつけましたが、とりあえず可能な限り万遍なく解けるように、取組んだつもりです。
当日は、ホクホクの笑顔で気持ちよく解いた午前に対し、午後は表情がかなり険しくなる展開となりましたが、それでも諦めずに、午前・午後合わせて
9割程度は解答用紙を埋め、合格することができました。
<所見>
一次試験は基礎的な内容であり、公式の暗記に加え、使いこなす「作業」になり、やや単調になります。公式を体に馴染ませる点では、簿記みたいなイメージです。難しいわけではないけど、「作業量」を求められます。私自身は数学をツールとして使うのは好きでも、作業は全く不得手。
特に証券分析を合格するには、初学者の
想定を超える圧倒的な勉強量が必要になります。
二次試験は記述なので応用編の位置付です。。
統計学的を駆使した実践的でわくわくするような?分析手法が身につきます。
二次試験は、実務的にもアカデミックな視点からも面白かったので、「証券アナリスト」は、金融機関職員だけでなく、経済学部や経営学部の学生にもお薦めできます。
例えば、最近は分かりませんが、統計学や計量学を取扱う一般的な大学・大学院の講義では、数学的なアプローチに終始している内容が多く、面白さや素晴らしさがさっぱり分からんまま、とりあえず公式を覚えて計算できるようにして、またはレポート書いて、単位取って終わりではないでしょうか?
統計学をアカデミックな視点で捉えると抽象的すぎて、分析手法は身につきません。
証券アナリスト試験では、実証結果の興味深さもさながら、自分でプロの論文で用いられたデータを「分析」した上で、つまり、結果はこうであると「断言する」訓練を何回もします。
最短距離で本質を掴みやすいメリットがあります。よくわからん数式を覚えて、本質を理解せぬまま、賢くなったように振舞うのはクレバーではありません。
引用元の論文で特に興味深かったのは、ファーマー・フレンチ、そしてカーハートのマルチファクターモデルを用いた実証分析。久々に原文(論文)を読んでみたくなる内容でした。
そんなわけで、これから挑戦する方(挑戦中の方)は、二次試験の勉強を心待ちに?前向きに励んで下さい。
さて、CMAで終わらせてもいいのですが、私自身はプロとしての未熟さに加え、知識レベルでの物足りなさを強く感じているので、次のステップも考えたいところです。
同じ分野、縦の関係であれば、国際公認投資アナリストCIIA(シー・アイ・ダブリュ・エー)か、金融のメジャーリーガーみたいなCFAか。それとも横の専門分野(USCPA等)に挑戦するか。
CIIAは英語でも日本語でも受けられるようなので、気軽に挑戦できるメリットがあります。
ファイナンス英語も学びたいとか、日本語でもいいから知識をブラッシュアップさせる目的であれば、CIIAがぴったりなイメージです。試験内容もCMAのように答えが通り一遍ではなく、考える自由度が高い試験みたいで面白そうです。更に、協会の会員簿にCIIAと併記されていた方が、(
おっ、こいつ違うな。とみる人は絶対にいないと思うけど)自己満足できる気がします。
一方、CFAはオールイングリッシュで、レベル毎に分けられており、取得期間を要するみたいなので、気合と覚悟が必要です。
海外では「食える資格」らしいので、専門性を決定付ける意味では、躊躇う事なくCFAでしょう。しかしながら、悩ましい事にCFAは日本の書店では情報や教材販売も充実していません。悩ましい・・・とはいえ、新居や新車選びと一緒で、計画を立てている段階が、一番楽しいかも。