2015年2月8日日曜日

職業大学論

2014年10月の文部科学省の有識者会議で提案され、大きな話題となった日本の大学の職業訓練校化。G型大学、L型大学構想について思うことを纏めてみます。

G型大学 ≝ グローバル大学
・グローバルなステージで活躍できる人材育成
・一部のトップ大学・学部を中心としたアカデミック・スクール

L型大学 ≝ ローカル大学
・地域の生産性向上に役立つ人材育成
・職業訓練を重視した、プロフェッショナル・スクール

大学はG・Lに分けましょう、という提案です。

この議論は当初、日経の紙面で知ったのですが衝撃的だったのが、例として「L大学の経済・経営学部は、マイケルポーターではなく、簿記・会計、弥生会計ソフトの使い方を教える。」という件(くだり)です。

マスコミが取り上げるのは、世間の興味・関心を引く情報なので、分かりやすさや話題性を重視したのかもしれません。

この議論、「例」ばかりにフォーカスが当てられて、批判等が独り歩きしている感がありますが、しかし、よくよく主張の主旨を追うと、「日本を取り巻く産業構造・労働構造は、グローバル企業とローカル企業に分かれている。大学もグローバル人材とローカル人材の両方を追いかけるのではなく、機能を分けるべきでしょう。」ということみたいです。

こう説明されると利害関係者を除いてはある程度、納得感があるかもしれません。

 私の過去の手記には、「子育てにおいては、大学時代までに専門分野に係らず、実学(会計、情報処理、語学など)を学ぶように促したい」と記してありました。
 こうした考えに至るのは、メンタルも素養も不用意に社会に出される日本の悲惨な学生の身(将来の私たちの子供たち)を慮っての事です。

 学生生活や社会人経験を経て思うのは、G・Lと極端に色分けするのではなく、リベラルアーツも実学も取り上げ、相互に刺激しながら「高い水準」の教育を提供する大学であってほしいということ。一夜漬けで単位が取れるような講義レベルでは、本当は教員・学生、お互いに不幸でしょう。

将来の日本の労働人口は減る一方。

教育や職業訓練の高度化を図らなければ、内需ですら維持できない事も懸念されるので、現状を看過するわけにはいきません。

G・L論は大学のあり方を見直す契機になると思います。

基より過度には期待できませんが、「リベラルアーツ+実学」、両面を尊重した大学に再建してほしい。